炭鉱王ハイム家の使用人ロラン・セアックは実は月の住人。
2000年前、宇宙規模の争いにより、死の星と化した地球を後にして
月へと移住した人類の子孫である。
月の女王ディアナ・ソレルの進める地球帰還計画の調査・先遣隊(実は人体実験)として、秘密裏に地球に降り立ったのだ。
ロランはハイム家の娘キエルへほのかな恋心を抱きながら、生死を含め、すべてが管理された月とはまったく違う、地球のたゆたいや揺らぎが
生み出す美しさにすっかり魅了され、地球人として生きることに喜びを感じていた。
そんなロランのあずかり知らぬところで月と地球間の帰還交渉は水面下で行われる。
しかし、月からの帰還という荒唐無稽な要求を地球側が安易に信じる
わけもなく、互いに疑心暗鬼に陥り、交渉は遅々として進まない。
そして2000年の歴史の中で“争い”を忘れていたはずの地球側は
何かに呼び覚まされたかのように、徐々に軍事力を蓄えていく。
そして痺れを切らした月の艦隊がついに地球に降り立ったことによって、
争いが勃発、繰り返しの歴史の幕開けとなるのであった。
福井氏大好きな私はなんの予備知識もなく、この本を手に取った。
表紙の絵が気持ち悪いなと思いつつ。
登場人物の名前が横文字で設定が近未来っぽい。苦手な分野だ。
月の女王が若く美しい女というのもいかにも、だ。
しかも地球で最初に出会った娘キエルと生き写しときたか。
ベタベタだな。
ヤダヤダと思いながら読んでたら大きなロボット出てきたよ。
なんじゃこれは?!
こういう設定次第で話がころころ転がる物語は説得力がない。
なんかアニメみたいだな・・・・。
・・・・・・
・・・・・・・
ガンダム?!そうか、そういうことか・・・・OTL
でも諦めない!最後まで読む!
福井氏が書く人々の熱さや生真面目さに変わりはないはずだ。
そして読了。
つまりこれは人間の愚かさをテーマにした作品といえるだろうか。
2000年前、人類が自らで汚し、失った地球。
その愚行を忘れる(あるいは目を背ける)ことで再起を誓い地球に残った
人類は、一旦は原始に戻った文明から復興を果たし、再び技術革新の
さ中に到達する。
そして月に渡った人類は二度と愚行を繰り返さないために、過去の技術を温めながらも、真に危険な兵器に関しては隠蔽し、管理してきた。
それはまるで去勢されたかのように。
しかし両者が出会うことによって、闘争本能に火がついたかのように、
情動的になり、利己的になり、愚かになる。
そこら辺の変化は私には正直納得のいく展開ではなかった。
そしてターンAガンダムのパイロット、ロラン。彼は優柔不断だ。
なぜ彼がターンAガンダムのパイロット足りえたのかが分からない。
もちろんその、ひとつの考えに固執しない、個人の感情を正当化して人に
押し付けることもしない、その自由度の高さがタ-ンAに受け入れられたのかもしれない。
しかしそんな人物ならたくさんいるような気がする。
そう考えれば誰でも良かった、とも云える。
繰り返しになるが、人々がたやすく争いの渦中に身を投じていく、
その有様こそが私には理解できない。
キエルの無様さは何だ。
恋に破れたくらいで人はあれほど醜態を晒せるものか?
それをまるで女の愚かさのように描写されても納得できない。
ハリーにしてもキエルにしてもグエンにしても、途中で“壊れた”としか表現のしようがない。
たくさんの人が作中で死ぬのだが、あの軽さは何だ。
『ローズダスト』で描かれた死とは比べようもなく醜く軽い。
“死”なんて美しいものじゃないのは分かってる。
分かってはいるが、アニメ仕様になるとこうも変わるものかと残念でならない。
つかどうしても∀が笑ってる口に見えて仕方なかった(゚∀゚*)
.ハ行の作家 福井晴敏 | trackback(0) | comment(2) |
またか・・・という感じは否めない。
福井氏が大好きなおっさんと青年のコンビだ。
いい加減マンネリだ。でも好きだ(爆
「亡国のイージス」「川の深さは」と類似する点も多々散見する。
ハムの脂身と揶揄されるおっさん、並河警部補(警視庁公安部四課の窓際的存在)とダイス職員だが、こちらも4年前のある事件の当事者であったため、微妙な立場に置かされていた青年、丹原朋希。
ローズダストと名乗るテロ集団によってIT企業幹部が爆殺されたことを皮切りにお台場で未曾有のテロが起こる。
そもそもの発端は4年前、朋希が関わったある事件。
ダイスが行った作戦の崩壊によって、朋希と袂を分かつことになった入江一功との確執から始まるのだ。
無理やりコンビを組まされた二人だが、おっさんは危うげな青年が放って置けなくなり、青年はそんなおっさんの熱い心に触れ、いつしか己を取り戻していくのであったぁ――――
ええまあそんなことはどうでもいいのだが、主題はやはりいまの平和ボケ日本で大規模テロが起こったら、国民はどう反応するのか?ということ。
戦争しない、武装しない、と言い張ってきた、世界で唯一の国はどう豹変するのか。
実際、攻撃の憂き目にあったら、それまでの御託はかなぐり捨てて、自己防衛だ、力の均衡だ、と大騒ぎじゃあないの?
戦後60年が経ち、戦争を知らない我々はその意味することがわかっているのか。
平和主義を気取りながら、紛争のある国に出かけた日本人が拉致され、殺害されたら自己責任と恥ずかしげもなく云える精神ってどんななんだ?
一晩で7割が3割に変わるとはよく云ったものだ。
実際、マスコミのしめす情報にたやすく人心は流される。
自分で考えるということをせず、テレビに出ていた誰かの言葉をさも己のもののように、喋くる。
だから、ローズダストはそんな日本という国を裁こうとするのだ。
そして裁きは下りる。最悪の結果を伴なって・・・・
ただ・・・
信じたいね。
平和の重さを忘れてしまったこの国にも育ちつつあるものがあるということを。
人の善意というものを。
誰かが倒れそうになったら、思わず手を差し伸べてしまう、そんな人の心をね。
.ハ行の作家 福井晴敏 | trackback(1) | comment(0) |
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