2007/12/17 (Mon) 『パライゾの寺』を読む 坂東 眞砂子

パライゾの寺パライゾの寺
(2007/06)
坂東 眞砂子

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旅の男が土地土地の古老の話を聞き書きしていくというスタイルの短編集。

『パライゾの寺』 (収録順と異なるがこれを最初に語りたい。)
切支丹の男の語り。

江戸幕府が倒れ、明治の世となった。
切支丹禁制が覆る事はなく、隠れ切支丹たちは捕らえられ、改宗を迫られる。
明治二年、長崎浦上村の信徒たち全員が二十二の藩に流罪にするという方策が採られた。
そうして土佐に送られてきた豊市たちだったが、狭い牢に閉じ込められただけで、拷問を受けるでもなく、おらしょを唱える毎日。
当然改心する者などいない。
ただ環境の悪さ、食事の貧しさに一人また一人と倒れていくだけだった。

寛大な扱いをして改心させるように、そういわれて藩庁から切支丹を預かっている村人たちは、彼らを扱いかねて、ひとつの方策を思いつく。
彼らが固く守り抜いている戒めを破らせて、転ばせようというのだ。

さくはもと武家の娘だったが、夫は戦死、維新で士碌は取り上げられ、暮らしに困って、義父母の生活のため、遊女屋に身売りをした。
自分の境遇を哀れとは思わず、どこかおもしろがっているような女だった。
さくはある日、隔てられた竹矢来の隙間から漏れ聞いた豊市の唄に心惹かれてしまう。
死んだら行く事ができるパライゾというきれいな国。
そこにほのかな憧れを抱きつつ暮らしていたさきは、豊市と出会うことになる。

哀しい話です。
豊市は一旦は改心を決意するが、自分から信仰を取ったら何も残らないことに気付く。
しかし信仰とは何なのか。
ただおらしょを唱え戒律を守っていればそれでいいのか。
なんの知識はなくとも、きれいでまっすぐなモノが人の思いの中にはきっとあります。
遠藤周作の書くのとはまた別の形で描かれている信仰の姿がここにあります。
私はこの作品が好きです。

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2007/01/15 (Mon) 『血と聖』を読む

血と聖 血と聖
坂東 眞砂子 (2006/03/25)
角川書店

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中世イタリアの田舎町チェネダ。
ヴェネツィアの豪商の娘タミラは退屈していた。
疫病から避難するためこんな田舎町で暮らさなければならないなんて!
そんなタミラだが、奇跡を起こす力を持つというドナート神父の噂を聞き教会を訪ねた折、修道士アルノルフォと出逢い、恋に堕ちてしまう。

アルノルフォもまたタミラとの邂逅が忘れられなかった。
そうして二人は一度だけ過ちを犯してしまうのだが、それはタミラをさらに燃え上がらせ、反対にアルノルフォを深い後悔と信仰への誘うのだった。

中世イタリアを舞台に繰り広げられる禁断の愛?
八百屋お七みたいだったよ。
かといって放火して人様に迷惑をかけるでもなく、ただ己を狂わせていくのみ。
恋愛小説というには心の機微に疎すぎるし、宗教を語るには奇跡が安っぽい。
最後のオチも貧相だね。
ちょっとがっかり。

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2006/07/15 (Sat) 『異国の迷路』を読む

異国の迷路 異国の迷路
坂東 眞砂子 (2006/04)
JTBパブリッシング

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「マルガリータをもう一杯」
 素人っぽいのだが、その設定が他人事ではないw
 「夫婦水入らずの予定だった海外旅行に無理やり随伴してきた
 口うるさい姑が、 ダブルとシングルの部屋をトリプルに変えさせ、
 しまいには日本に帰ったら同居などと言い出し、
 それを拒否できるはずもない嫁」が主人公で、
 世のマザコン旦那連中に読ませてやりたい作品だったw

その他収録作
   「死者を忘れるなかれ」
   「黒い靴」
   「信じる?」
   「霧の中の町」
   「極楽の味」
   「理想の妻」 
   「離れない」
   「夜の散歩」
   「地の果てにて」
   「ムーンライト・キス」
   「ガラスに映る貌」
【星はいかほど】
   異国の地で、ぽっかりと開いた異界の口に、
   ときに根拠もなく呑み込まれる人の姿が描かれている。
   あとがきを読むと 実は1992年から93年に書かれたもの。
   洒落たホラー短編を、というのを念頭に書いたそうだが、
   著者自身が評しているように お手軽で青臭い作品群だ。
   発展させていけば面白いのかもしれないが、
   このままではプロットの一部分を見ているように物足りない。

   突然の人の死というのは、本当はもっと恐ろしいもののはずだが、
   筆力が及ばないのか、構えすぎているのか、
   蝋人形を見るほどのリアルさもなく、素人くさい仕上りになっている。
   しかし、坂東眞砂子の原点は確かにここにある。
   彼女の描く「情念としての女」は既に生まれていたのだ。

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