2007/01/15 (Mon) 『血と聖』を読む

血と聖 血と聖
坂東 眞砂子 (2006/03/25)
角川書店

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中世イタリアの田舎町チェネダ。
ヴェネツィアの豪商の娘タミラは退屈していた。
疫病から避難するためこんな田舎町で暮らさなければならないなんて!
そんなタミラだが、奇跡を起こす力を持つというドナート神父の噂を聞き教会を訪ねた折、修道士アルノルフォと出逢い、恋に堕ちてしまう。

アルノルフォもまたタミラとの邂逅が忘れられなかった。
そうして二人は一度だけ過ちを犯してしまうのだが、それはタミラをさらに燃え上がらせ、反対にアルノルフォを深い後悔と信仰への誘うのだった。

中世イタリアを舞台に繰り広げられる禁断の愛?
八百屋お七みたいだったよ。
かといって放火して人様に迷惑をかけるでもなく、ただ己を狂わせていくのみ。
恋愛小説というには心の機微に疎すぎるし、宗教を語るには奇跡が安っぽい。
最後のオチも貧相だね。
ちょっとがっかり。

.ハ行の作家 坂東眞砂子 | trackback(0) | comment(0) |


2007/01/15 (Mon) 『沖で待つ』を読む

沖で待つ 沖で待つ
絲山 秋子 (2006/02/23)
文藝春秋

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2作収録
『勤労感謝の日』
『沖で待つ』
女性総合職を主人公にした作品。

『勤労感謝の日』
勤労感謝の日って何だ?
理不尽なトラブルで会社を辞めた恭子にとって、それは得体の知れない、腹立たしくもある一日である。
そんな勤労感謝の日に近所の長谷川さんに勧められ、36歳無職の恭子は見合いをすることになった。
すごい相手だった。
何しろ紫色のコーデュロイのジャケットに黄緑色の靴下だ。
そして第一声が「スリーサイズ教えてくれますか」

すげー(゚Д゚)

さらにすごい描写が続くのだが自主規制。
恭子は見合いを中座してしまうのだ。

家に帰るわけにも行かず、クリスマスの飾り付けに怒り、バスのアナウンスに怒りしながら、
後輩のゆかりを呼び出す。
そうして語り合われるのは女の本音だろうか。
女性総合職として仕事に生きてきた女達の本音?
仕事の意義とか考えたことがないから分からないな。
こういう人種がいるのだろう。
ただの愚痴としか思えんが。

笑わせてはくれるのだが、少々露悪的なところもあり。
シみるような話ではなかった。


『沖で待つ』
死んだ同期の太っちゃんとの約束を守るため、及川は彼の部屋に侵入する。
死んだらお互いのHDDを壊すこと、と生前取り決めていたのだ。
ゴム手袋をはめ、工具を並べ、パソコンを分解していく。
弁当箱のようなHDDが現れ、さらにフタを開けようとしているうちにまるで
太っちゃんの“死”に触れているような感慨に囚われていく・・・


同期の桜かよ?
HDDに治まった互いの秘密がくだらないものだったのだが、現実にはこんなものかもしれない。
でも、もっと劇的なものを期待してしまっていたのだ。
だってこれらはフィクションだろう?

.ア行の作家 絲山秋子 | trackback(0) | comment(0) |


2007/01/11 (Thu) 『空の色紙』を読む

空の色紙 空の色紙
帚木 蓬生 (1997/11)
新潮社

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3作収録
『空の色紙』
『墟の連続切片』
『頭蓋に立つ旗』

古臭い。何しろ30年近く前の作品だ。
すべて医療関係のお話。

『空の色紙』
鹿児島の片田舎で嫉妬からアル中の父親が息子を殺害する事件が起こった。
被告の精神鑑定を任された医師小野寺は、現場になった家を訪れ、家族との面接を行う。
そうして家族の証言から伺える父親の姿は人外のものだった。
しかし実際に被告との面接で受ける印象は、確かに現実の誤認、極度の妄想が見られるものの、一見すれば平凡な男としか見えない。
精神病院に措置入院となったところでいずれ退院してくることは明らかだが、その後の家族の有様は想像に難くない。
こうして血生臭い顛末を掘り起こしたところで息子が生き返るわけでなし。
かえって不幸の輪郭を濃くするだけではないかと小野寺は述懐する。
そんな小野寺自身も30年に亘る妻への、あるいは彼女の元夫である兄への屈託を抱えていた。

上記の息子殺しともうひとつ、夫婦間の毒殺未遂事件が描かれているのだが、
それぞれの出来事を列挙する必然性がないような気がする。
確かに家族の形、夫婦の形が見え隠れするのだが、無理やり繋げているようにみえる。


『墟の連続切片』
背景に学生運動があるのだが、正直わけわからん。
助手(この作品の場合は講師)が論文を書き、教授がちょこっと手を加えて、連名で発表というのは現在も行われている“習慣”だろう。
そして実験結果に脚色を加えることも。
それを青医連(学生自治会らしい)に糾弾され、責任のなすりつけ合いをするという話だ。
そして最後には“壊れて”しまう。

わー人が死んでる、死んでる!
え〜?何それ。石、投げんの?


どう評価すればいいのでしょうか・・・(´Д`)


『頭蓋に立つ旗』
これもまた学生運動にまつわる話。
落第生だってバシバシ出しちゃうスゲー厳しい石郷先生は骨学の先生。
そんな石郷先生は解剖実習に先立って学生達に誓約書を要求するのだ。
内容は、遺体の一部なりとも粗末に扱わず、最後まで解剖を遂行することという趣旨のもの。
そんなの当然じゃんと私は思うのだが、いかんせん学生たちの反感を買ってしまう。
実習で頭蓋骨が一個なくなっちゃったのを学生のせいでは?とポロリと漏らしたのをきっかけに、学生たちの誓約書ボイコット運動が始まったのだ。
しかし誓約書がなければ解剖実習も行わない!皆落第にするしかない!
と互いの根競べが始まってしまう・・・

と、こういう話なのに、なぜか九大で行われた人体実験のワンシ-ンが挿入されている。
何故だ!

.ハ行の作家 帚木蓬生 | trackback(0) | comment(0) |


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