『ハヅキさんのこと』川上弘美
『さよなら純菜、そして不死の怪物』浦賀和宏
『12番目のカード』ジェフリー・ディーバー
なかなかの満足のいく品揃えだった。
実に楽しみである。
雑文 | trackback(0) | comment(0) |
![]() | すきまのおともだちたち 江國 香織 (2005/06) 白泉社 この商品の詳細を見る |
取材のために訪れた旅先で、新聞記者である『わたし』は迷子になってしまう。
そこにはあったはずの駅も郵便局もホテルもなく、見知らぬ町並みが広がるばかり。
窮したわたしは庭先で洗濯物を干す女の子に道を尋ねる。
それが二人の出会いだった。
その町はイデアそのものというべきモノで構成されている。
女の子は“女の子”でしかなく、お皿は“お皿”でしかない、郵便局は“郵便局”で、他の何物でもない。
概念で構築された町とでも云おうか。
そしてわたしは“お客様”というモノを構成することによって、その町に滞在することになるのだった。
町には奇妙なものがあふれている。
お喋りをし、車を運転するお皿。夫婦で仲睦まじく暮らす風呂敷。
(風呂敷夫婦は互いに折り重なったり、包みあったりして愛を交わすのだろう。
この辺の記述は面白い)
しかし豚や馬が服を着て喋るのも含めて、これらの奇想天外はいただけない。
先にイデアと述べたが、それに反するのだ。
郵便局もリゾートも寒村もその世界にはひとつしか存在しないというのに!
そういう世界観だからこそ、深みも増すというものなのに!
おかげで、ただのメルヘンに堕してしまっているのだ。
メルヘンは嫌いだ。
.ア行の作家 江國香織 | trackback(0) | comment(0) |
| Op.ローズダスト(上) 福井 晴敏 (2006/03/14) 文藝春秋 この商品の詳細を見る |
| Op.ローズダスト(下) 福井 晴敏 (2006/03/14) 文藝春秋 この商品の詳細を見る |
またか・・・という感じは否めない。
福井氏が大好きなおっさんと青年のコンビだ。
いい加減マンネリだ。でも好きだ(爆
「亡国のイージス」「川の深さは」と類似する点も多々散見する。
ハムの脂身と揶揄されるおっさん、並河警部補(警視庁公安部四課の窓際的存在)とダイス職員だが、こちらも4年前のある事件の当事者であったため、微妙な立場に置かされていた青年、丹原朋希。
ローズダストと名乗るテロ集団によってIT企業幹部が爆殺されたことを皮切りにお台場で未曾有のテロが起こる。
そもそもの発端は4年前、朋希が関わったある事件。
ダイスが行った作戦の崩壊によって、朋希と袂を分かつことになった入江一功との確執から始まるのだ。
無理やりコンビを組まされた二人だが、おっさんは危うげな青年が放って置けなくなり、青年はそんなおっさんの熱い心に触れ、いつしか己を取り戻していくのであったぁ――――
ええまあそんなことはどうでもいいのだが、主題はやはりいまの平和ボケ日本で大規模テロが起こったら、国民はどう反応するのか?ということ。
戦争しない、武装しない、と言い張ってきた、世界で唯一の国はどう豹変するのか。
実際、攻撃の憂き目にあったら、それまでの御託はかなぐり捨てて、自己防衛だ、力の均衡だ、と大騒ぎじゃあないの?
戦後60年が経ち、戦争を知らない我々はその意味することがわかっているのか。
平和主義を気取りながら、紛争のある国に出かけた日本人が拉致され、殺害されたら自己責任と恥ずかしげもなく云える精神ってどんななんだ?
一晩で7割が3割に変わるとはよく云ったものだ。
実際、マスコミのしめす情報にたやすく人心は流される。
自分で考えるということをせず、テレビに出ていた誰かの言葉をさも己のもののように、喋くる。
だから、ローズダストはそんな日本という国を裁こうとするのだ。
そして裁きは下りる。最悪の結果を伴なって・・・・
ただ・・・
信じたいね。
平和の重さを忘れてしまったこの国にも育ちつつあるものがあるということを。
人の善意というものを。
誰かが倒れそうになったら、思わず手を差し伸べてしまう、そんな人の心をね。
.ハ行の作家 福井晴敏 | trackback(1) | comment(0) |
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