ここに来ようとして『濫読乱文の泉』で検索をかけたら、
本の紹介サイトに飛んでしまった。
そこに私の書いた文章が載っている。
許可なく転載されているというわけだ。
もちろん記事元は明記されていたが、気分のいいものではない。
トラックバックされていれば、こちらから辿ることができるが、
こういった形で使われたら認知のしようがない。
私自身も他人のサイトから画像をもらってきて日記に貼ることは
あるが、対象は動物や景色である。
個人的なスナップを借りてくることはない。
読めば判るだろうが、ここは極々私的なメモとして書いているのだ。
前半が粗筋だったので使われてしまったのだろうが、後半はグタグタである。
早い話が、
恥ずかしくて死にそうなのだ。・゚・(*ノД`*)・゚・。
日記 | trackback(0) | comment(0) |
![]() | アンボス・ムンドス 桐野 夏生 (2005/10/14) 文藝春秋 この商品の詳細を見る |
『植林』
デブでチビで根暗な真希はコンプレックスの塊だ。
化粧品や医薬品の量販店にアルバイトをしており、友達も少ないし、彼氏もいない。
家の中では兄夫婦に遠慮して居場所がない。
ないないづくしの真希だが、ある日TVのワイドショーで流れた音声を
聴いて、幼い頃の記憶が蘇った。
かのグリコ・森永事件で犯人が使った録音だが、真希自身にその文章を読まされた記憶があったのだ。
当時小学3年生、真希は同じマンションに住む女性の部屋に遊びにいき、件の文章を乞われるがまま読み、それを録音された。
過去の有名な未解決事件に自分も関与していたことに真希は興奮する。
真希は歪んだ自信を手に入れ、その日から生まれ変わったように快活になる。
そしてそれまで避けていた小学校のクラス会にも赴くのだが、そこで女性の部屋での出来事を補足する記憶を呼び覚まされることになる。
自分の記憶と周りの人々の認識との差異に翻弄され、混乱し、ついには身の内に沈殿した悪意を吐き出すかのように、悪意を連鎖させる真希。
それは“悪意の排泄”とも云える不快さである。
『アンボス・ムンドス』
夏休みに一生で一度の思い出として、示し合わせてキューバ旅行に出た若い小学校の女教師とその不倫相手である教頭。
旅から戻ってきた夢心地の二人を待ちかまえていたのは、担当クラスの女生徒たちの山での遭難、そして一人の少女の死だった。
ふたりの不倫関係は白日のものとなり、容赦ない周囲から非難の嵐に晒されることになる。
恋人と会えないことを悔やみつつも女教師は、生徒の死に疑問を抱く。
仲が悪かったはずの女の子グループがなぜ共に山に出掛けたのか。
しかし、罪悪感に苛まれながら、生き残った女生徒たちを問い詰めることはできなかった。
すべては策略だったのか。
本当のターゲットは誰だったのか。
曖昧なまま時は過ぎてしまう。
物語は独白形式で語られる。
そして女教師は真実を確かめる術を持っており、その意志を露にした時点で物語は幕を閉じる。
『ルビー』
ホームレスの男が拾ったルビー・モレノ似の女。
帰る家がない彼女はやすやすとホームレスの男たちに身をゆだねる。
それにショックを受ける男。
そんだけの話。
『怪物たちの夜会』
不倫相手の煮え切らない態度に切羽詰った女は、ついに相手の家まで押しかけてしまう。
不倫相手の妻とその家族に追い返され、男に離婚する気がないことを知った女。
ラストは突飛だが、面白みはなく、説得力もない。
『愛ランド』
旅に出た3人の女が、手違いから尖胸術という性感マッサージまがいのエステを受けさせられたのを切っ掛けとして、それぞれ順番に性遍歴を告白していく。
セックス百物語みたいに話が強烈になっていく様が面白い。
最初のひとりが父親との恒常的なセックスを告白して、ほお〜と思っていたら、次の人もスゴイねコレ!って感じ。
『毒童』
お寺に私生児として生まれた女性が奇妙なホームレスの親子と出会い、
義父を殺すための秘策を給わる。
珍しくスーパーナチュラルな能力がスパイスに使われている。
オチは星新一のショートショートみたい(褒めてない
『浮島の森』
佐藤春夫と谷崎潤一郎の間の妻譲渡事件を髣髴とさせる設定。
妻ともに譲られた立場の娘の視点から描いたもので、何が云いたいのかよく分からなかった。
.カ行の作家 桐野夏生 | trackback(0) | comment(0) |
![]() | ダーティ・ワーク 絲山 秋子 (2007/04) 集英社 この商品の詳細を見る |
『worried about you』
ギタリストの熊井望はつまらない賭けに負けて、健康診断を受ける羽目になる。
そして思いもよらず『要再検査』の通知を受け取ってしまった。
言い知れぬ不安を抱え、検査に赴くのをためらいつつ、思い出すのは昔バンドを組んでいたTTのことだった。
自分の愚かな行為で喪ってしまった大切な関係。
TTのことを心配しながら、本当は自分が誰かに心配して欲しいのではないかと思わせる。
そういうのってなんだか分かる気がする。
望は最後には再検査に行くのだけれど、医師の診断はまるで福音のように聞こえたよ。
『sympathy for the devil』
恋人との付き合いに必然性を感じなくなり始めていた倦怠期の貴子は
義姉に相談を持ちかける。
貴子が愚痴るのは、ありがちな男女間の歪み。
いつだって男はいい加減で、女はそれに怒る。まるで役割分担のように。
義姉はそれにアドバイスをするでもなく、ある例え話をする。
その話から、兄と義姉の関係についてある可能性に思い至ってしまう。
文体が若い女のちゃらい話言葉で書かれており不快。
ストーリー自体もだから何?という感じ。
これは必要な話か?
『moonlight mile』
昔一度だけ寝てその直後にふられた女性から突然「会いに来て欲しい」とメールが来た。
悪性リンパ腫に侵されて入院し、余命幾許もないという彼女が、今さらなぜ?と思いながらも、遠井は夜の街を車を飛ばす。
この話は好き。
牛みたいな女が激痛を伴う発作に苦しむ様が、快感に喘いでいるように見えるなんて、なかなか書けないのではないのだろうか。
そういえば、妊婦が出産の折には色っぽいとは読んだことがあるか。
なんにしろ好き。
他4作
『before they make me run』
『miss you』
『back to zero』
『beast of burden』
連作短編集である。
共通の人物がそれぞれのストーリーに現れ、リンクする。
しかしそれが一体なんだというのだ。
完成度にムラがある。
こんなん俺でも書けるわい、と思ってしまう短編がちらほら。
たくさんの方がレビューに賞賛の意を表している。
スマンがおれにはわからん!
ちなみにタイトルはストーンズのアルバムから取られているのだそうだ。
.ア行の作家 絲山秋子 | trackback(0) | comment(0) |
![]() | あふれた愛 天童 荒太 (2000/11) 集英社 この商品の詳細を見る |
『とりあえず、愛』
営業マンの磯崎武史は腎臓病を患いながらも、妻の莎織と赤ん坊のなつみの3人で穏やかに暮らしていた。
大きな仕事を取り、意気揚々とマンションに帰ると、妻の莎織の様子がおかしい。
問いただすと莎織は娘を殺しそうになったと告白した。
訳も分からず戸惑い、妻を問いただす武史と自分に一体何が起きたのか、言葉にできず混乱する莎織。
武史はわが子を心配するあまり、妻子を無理やり実家に預けようとしたり、医者に行かせたりはするが、医者から夫の対応にも問題があるように指摘され、不満に思う。
なつみの腕の痣を見つけて莎織の虐待を疑い、精神科に行きたいという莎織の要望を「世間体が悪い」と撥ね付ける。
そして決定的な事件が起きてしまう・・・
莎織が武史に訴える言葉がある。
「家族って何だろう。夫婦って何なのかしら。私が一番頼りにしたい
ときに、一番ひどい人だったあなたは私の何だったの」
男は自分の母親が理想でありがちだ。
あるいは自分にとって都合のいい“家族”像を創り上げ、女に理想を求める。
押し付け、雁字搦めにし、理想を保つことが当たり前で、型から外れると腹を立てる。
家族とは決して誰かから一方的に与えられるものではない。
共に創り、支えていくもののはずだ。
それを見失っていた家族の物語といえるだろう。
この他に3篇が収録されている。
『うつろな恋人』
仕事のストレスで心を壊した男性と心のバランスをとるために空想の恋人を持つ女性の物語。
男は空想の恋人から女性を奪うために、ある行動にでる。
それをきっかけに彼女の心は変容を遂げる(よいかたちに、ではない)物語中、その行動そのものが糾弾されることはなかった。
実に・・・
許せん
『やすらぎの香り』
子供の頃からひとに気を使い、やがて心のバランスを崩してしまった若い2人が懸命に寄り添おうとする。
いらっとします。
『喪われゆく君に』
漫然と生きていた若者がバイト先のコンビニで客の突然死に遭遇したことから、生きるということ、命の重さに目覚める。
これもいらっとします。
.タ行の作家 天童荒太 | trackback(0) | comment(0) |
必要なものが無いことより
不要なものがある方が
あるいは不幸なことが
得てして多い
雑文 | trackback(0) | comment(0) |
![]() | 家族狩り 天童 荒太 (1995/11) 新潮社 この商品の詳細を見る |
高校の美術教師、巣藤浚介は隣家からの異臭に耐えかねていた。
そこは常々高校生の息子が暴れる音が聞こえていた家だ。
苦情を申し立てるため訪れるが、返事はなく、辺りには腐臭が漂っている。
鍵が掛かっていたが、強く引くと裏口の扉が外れた。
不穏な空気を感じ取り、足を踏み入れた家の中で、浚介は強烈な腐肉の臭いとそれを発する惨殺死体を発見してしまう。
遺体はその家の両親と祖父。
縛られた状態で、生きたままのこぎりで刻まれた跡がある。
そして高校生の息子は遺書めいたメモを残し、喉首を掻っ切って別室で死んでいた。
警察の見解では家庭内暴力の果て、息子が家族を殺害し、自殺したという被疑者死亡で幕を下ろすことになりつつあった。
しかし、またしても同様の事件が別の家庭で起こってしまった。
登場人物はみな何がしか家族というものに不信感や絶望感を抱いている。
彼らはみな“家族”の犠牲者たちと云えよう。
さしずめ壊れた家族の見本市というところだ。
浚介は生真面目で嫉妬深い父と放埓な母の不仲の末の刃傷沙汰がトラウマとなり、自分自身が新たな家族を持つことに不安を抱いている。
児童相談センターのカウンセラー氷崎游子は幼い頃、酔った父の手で一生背負わなければならない障害を足に負い、その父も今は早発の痴呆症に罹っている。
刑事の馬見原は暴君的な父親を忌み嫌いながらも、その跡を継ぐように、自身も我が子には厳しくあたり、己の理想を押し付けるばかりで、結果、優等生だった長男は高校入学前にバイクの無免許飲酒運転で事故死。
娘は兄の死に際に仕事を理由に駆けつけなかった父を憎み、非行に走る。
従順で夫に逆らうことを知らない妻はやがて精神を病んで自殺未遂を起こしてしまう。
皆がみな狂気を孕んでいる。
印象的なのは我が子を殺害し、狂気に憑かれた男が、馬見原の妻を訪問し、彼女の言動がおかしいことに気付き、呟く言葉だ。
「なんてこった・・・・・狂ってやがる」
そう云って男は、狂った妻を放り出して仕事に駆け回る馬見原のことを笑うのだ。
己の狂気は棚上げにして。
作者は精神病理についてよく勉強したのだろう。
ここまでパターン通りなのもどうかと思うが、各々の異常行動には説得力がある。
なかでも家庭内暴力の息子を殺害するに到っての母親の心理描写は眼を瞠るものがある。
そこには子供を殺すのではなく、助けるという意志しか存在しない。
それが狂気ゆえの偽りや誤魔化しかどうかは読んでいるこちらにも判り得ない。
ただ圧倒されるばかりである。
そしてラストに二つのエピローグが記されている。
ひとつは穏やかさと治癒が暗示されているのだが、冒頭部のそのやりとりは不自然で、甚だ馬鹿馬鹿しいようにも思える。
そしてもうひとつは新たな“家族”の小さな犠牲者の存在をあからさまにするもので、衝撃的な内容だ。
.タ行の作家 天童荒太 | trackback(0) | comment(0) |
![]() | 父からの手紙 小杉 健治 (2003/07/22) NHK出版 この商品の詳細を見る |
結婚を間近に控えた麻美子は母と弟の伸吾との3人暮らし。
父親は10年前、麻美子が中2のときに出て行ったきり、毎年誕生日に手紙を寄越すだけの存在だった。
思春期の父親が疎ましく思える時期に、母と離婚して去って行った父親だが、その手紙には子供たちを案じ、励ます言葉がしたためられている。
おそらく他の女性の元に行ったであろう父の身勝手に、怒りを覚えつつも、憎みきれない。
それは手紙の中に溢れんばかりの愛情を感じることが出来たからだろう。
麻美子の結婚相手高樹は経営コンサルタントのやり手社長で、婚約しているにもかかわらず、周りに女の影がちらついている。
にも関わらず麻美子が黙っているのは、両親の結婚生活の破綻を目の当たりにしたことによって、既に結婚に対するあまやかな幻想など持ち合わせていないからだ。
本心では父の幼馴染であり、彼女たちが父親代わりと慕ってきた山部の息子、信勝に思いを寄せながらも、麻美子は割り切った結婚に望もうとしていた。
それも偏に山部が一代で興した会社を守るためだった。
時代の波に乗り遅れた山部製作所はいま窮地に立っている。
高樹の融資が引き出せれば、再興の望みが持てる。
そんな企みを胸に秘めて、麻美子は嫁ごうとしていた。
しかし麻美子の本心は知らずとも、高樹の本性を知っている弟の伸吾は
なんとか姉に結婚を思いとどまらせようとしていた。
その矢先、高樹の部屋から高樹の愛人の遺体が、遅れて高樹自身の遺体が産業廃棄物の塵収集場から発見された。
そしてこともあろうか伸吾が殺人の容疑を掛けられ、拘留されてしまうのだ。
心労で母は倒れ、融資の立ち消えによって破産寸前の山部親子も当てに出来なくなり、麻美子は単身、事件の真相に挑むのだった。
そして事件の陰に父親を見た麻美子の父親探しの旅が始まる。
そしてもうひとつの物語。
圭一は刑事殺しの罪を償い、9年目にして出所してきた。
彼を迎えてくれたのは伯父のみ。
出所の半年前まで面会に来てくれていた恋人の歌子は姿を消していた。
孤独の中で彼を苦しめる記憶は殺害の寸前の刑事とのやり取りだ。
刑事のある言葉に逆上して犯行に至ったはずなのだが、どうしても思い出せない。
事の発端は義姉の不倫疑惑だった。
兄は小さな電器店を営んでおり、大型量販店の進出により、経営難に陥っていた。
そんな折、妻みどりとの間に念願の赤ん坊を授かる。
しかし連帯保証人になっていた友人が失踪。大きな借金を背負うことになる。
そしてある日、兄は圭一に相談を持ちかけてくる。
「みどりが浮気をしているらしい。後を尾けてみてくれないか」
まさかと思いつつ、義姉を尾行して圭一が見たものは男とホテルに入るみどりの姿だった。
みどりに密かな思いを抱いていた圭一は愕然とするが、それを聞いた兄の絶望はさらに計り知れなかった。
ついに精神に異常をきたした兄は灯油をかぶって焼身自殺を遂げるのだが、その事件に疑問を持ったひとりの刑事がいた。
圭一が殺害した犬塚その人だった・・・・
麻美子は父の行方と事件の犯人を捜し、圭一はみどりの行方と自分の記憶を探す。
題材としてはいいのだが、全体的に説得力に欠ける。
どちかというと“うじうじおっとり”タイプの麻美子が打算で結婚しようするのは違和感がある。
それに麻美子も圭一もただ漫然と縁の地を訪ねてみたり。
他にやりようがあるのではないだろうか。
そもそも変死体の身元を、ろくに検死もせずに、家族の証言だけで決め付けることなんてあるのだろうか?
信勝が酒と女におぼれるのもパターン化した茶番劇のようだ。
.カ行の作家 小杉健治 | trackback(0) | comment(0) |
| TOP |






