失踪者―カフカ・コレクション 失踪者―カフカ・コレクション
フランツ カフカ (2006/04)
白水社

この商品の詳細を見る


17歳のカール・ロスマンは女中に誘惑され、身篭らせてしまったため、
両親に放逐されてしまう。
たった一人でアメリカへの船旅に出るのだが、下船する段になって
知り合ったひとりの火夫と話すうち、彼の不遇に憤りを感じ、船長に
直談判に行こうと言い出す。
ここで不思議なのは、出会ったばかりのおっさんのグチに素直に反応し、
状況を打開しようする根拠の薄さである。
おかげでカールは船長室で偶然、伯父に出会うことが出来るわけだが、
これがまたご都合主義というか・・・
伯父は上院議員を務めるほどの実力者。
行く当てのなかったカールの生活の保障がされるわけだ。
世界名作劇場並みのトントン拍子だ。

そして伯父と暮すことになるのだが、そこで紹介されたポランダー氏と
お互いに好意を抱く。
そして家に招待される。
快くというわけにはいかなかったが、とりあえず伯父の許可を得て、
泊まりに行く。
泊まりに行ったその夜午前0時。不幸な手紙を渡される。
「原理主義である私は今夜のお前の行動を許すことは出来ない。
よってお前を放逐する。」
という訳で家なき子になっちゃうのである。
なんッじゃそれ!!
ツッコミどころ満載のとても面白い作品だった。



【星付けたるで】
  従来は「アメリカ」というタイトルで知られていた作品だが、今回の
  「カフカコレクション」では、カフカ自身が名付けていたタイトルに
  戻されており、新たな一章も付け加えられている。
  カフカの死後、友人が遺稿を編纂したものであり、未完の作品である。
  主人公の年齢も辻褄が合わないし、ストーリーに脈絡がないまま
  進む章もある。
  なのにとても面白い。確かに退屈な場面もあるが、
  続きが気になる話運びだ。
  カフカってけっこうエンターテイナーだったんだな。
  気に入ったので「アメリカ」も読んでみるつもりだ。 
2006.08.03 
Secret

TrackBackURL
→http://kohinatayou.blog69.fc2.com/tb.php/14-18fc9334