2007/10/05 (Fri) 『葉桜の季節に君を想うということ』を読む 歌野 晶午

葉桜の季節に君を想うということ (本格ミステリ・マスターズ) 葉桜の季節に君を想うということ (本格ミステリ・マスターズ)
歌野 晶午 (2003/03)
文藝春秋

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成瀬将虎は地下鉄のホームで線路に飛び降りる女を見た。
明らかに自殺である。無理やりに線路から押し出し、夢見の悪い思いはしないですんだのだが、駅員に詳しく事情を説明する破目になった。
これが麻宮さくらとの出会いである。
後日さくらからのお礼の電話をきっかけに、二人は度々外でデートを繰り返す仲となる。
どうやらさくらには多額の借金があるようで、それを悔やんでの自殺未遂だったらしい。
成瀬はさくらに好意を抱いてはいたが、最後の一線を越えるのは躊躇われていた。

そんな時、成瀬の通うフィットネスクラブ仲間であり、高校の後輩でもあるキヨシから厄介ごとを頼まれる。
キヨシの想い人である久高愛子の身内に交通事故死という不幸があったのだが、そこに保険金殺人の疑いがあるというのだ。
保険の受取人は羽田管理倉庫という架空の会社。
事故死した隆一郎はもと有名企業の役員であり、そんな会社にはまったく覚えはない。
知らないうちに羽田管理倉庫の社員として登録され、保険を掛けられていたらしいのだ。
保険会社の確認の電話で明らかになっており、保険金が支払われる事はなかったのだが、殺人の疑いがあるなら放っておけない。
疑わしいのは故隆一郎が嵌っていた、法外な値段で怪しげな健康器具等を売りつける団体、蓬莱倶楽部。
隆一郎は生前、一式100万もする布団や一本二万円の水など、総額5千万も蓬莱倶楽部につぎ込んでいた。
愛子とその家族は、世間体もあるので、隆一郎が悪質な業者に騙されていたのは公表したくない。
しかし、もしもただの事故死でなかったのだとしたら、このままにはしておけない。
かくして元探偵(見習い)であった成瀬に白羽の矢が立ったのだ。
任務は蓬莱倶楽部の内偵。
成瀬はなしくずしにこの依頼を受けることになるのだが・・・。


ジャンルは本格ミステリということらしい。
あんまり面白くない。
成瀬が若い頃遭遇した事件も挿入されており、同時進行するが、組み立てが上手いとはお世辞にも云えない。
作中のヤクザの変死事件のネタ証しも一定の水準に達しているとは思えない。

エピソードの一つとして、名古屋で人探しをするという場面がある。
行方不明のフィリピーナ。
手がかりは名古屋で『山下』という店を始めたらしい、ということと場所は『市場』という所らしいこと。
まず『山下』を104で調べて該当がなかったとしても、シークレットにしているかもしれない、なんて普通思わないよ。
屋号をシークレットにする客商売なんてあるかよ?
『山下』の別の読みを探すなりなんなりするだろう?
トリックが小学生のナゾナゾ本並みやったわ。

クライマックスでメインのトリックが明かされる。
確かに意外ではあるが、こんなことは森博嗣や浦賀和弘で経験済みである。
惑乱させることに成功しているとは思えない。
まさかこれだけのために、こう冗長な文章を読まされたのかと思うと、いささか落胆。
確かに文章<会話)に不自然な部分があったが、伏線としては弱いと思う。

ヒント:愛子の会話文「おとうさん」とか「おじいさん」ってへん、と思ってた。

あ、でも装丁はイイね!(゚∀゚)

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